定款の重要性とは?~定款に定めるべき事項を徹底解説~
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定款は、企業活動の基本となる重要な文書です。
会社の設立時に作成され、会社の運営や意思決定に大きな影響を与えます。
今回は、定款の重要性と定款に定めるべき事項について詳しく解説し、企業にとって定款がいかに重要な役割を果たすかを説明します。
定款とは
定款は、会社の組織や運営に関する基本的なルールを定めたもので、「会社の憲法」とも言うべき重要な書類です。
定款に記載する内容はあらかじめ法律で定められており、会社名や本店所在地、事業目的などの基本情報をはじめ、株式に関すること、役員に関することといった事項を記載します。
これにより、会社の目的、事業内容、役員の任免、株式の発行など、企業活動のルールが明確になります。
定款は法的な拘束力を持ち、会社の活動や取締役会の決定は定款に基づいて行われます。
また、定款の内容は株主や取締役が従うべき規則として機能し、定款違反があれば法的な問題が生じる可能性があります。
定款に定めるべき事項
それでは、具体的に定款に定めるべき事項を解説します。
定款に記載する項目には、大きく分けて3つあります。
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
それでは、次から詳しく見て行きましょう。
1.絶対的記載事項
絶対的記載事項は、法律上定款に必ず記載しなければならない事項で、次に挙げる5項目に不備がある場合は定款そのものが無効になる可能性があります。
商号
会社の正式名称を指します。
会社名として使用できる文字などには一定の決まりがあるので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
本店所在地
事業を行う場所(事務所)の住所を指します。
登記上の住所であるため、実際に事業を行う場所と異なっていても問題ありません。
ただし、事務所を移転する場合は登記の変更手続きなどが必要になるため、長期的に事業を行う場所を定めておくと良いでしょう。
事業目的
会社が行う事業の内容を具体的に記載します。
事業内容が広範囲にわたる場合は、将来の事業展開も見据えて幅広く設定することが重要です。
資本金額
会社を設立する上でいくら出資したのかを記載します。
出資額をいくらにするべきかについては、取引先に与える印象や売上が出るまでにかかる費用など、さまざまな観点から考えなければなりません。
また、融資などの審査でも資本金額が影響するため、融資による資金調達を検討している場合はあわせて考慮する必要があります。
発起人の氏名および住所
発起人とは会社設立を行う人のことで、会社の設立後は出資した額に応じて株式が発行され、株主となります。
発起人が複数いる場合には、全員分の記載が必要です。
2.相対的記載事項
相対的記載事項は、法的に記載義務はありませんが、記載しないとその事項に効力が生じないものを記載します。
たとえば、株式会社の場合は以下のようなものがあります。
・変態設立事項
・株主名簿管理人
・株券発行
3.任意的記載事項
任意的記載事項とは、定款に記載するかしないか会社が自由に選べる事項で、法律や公序良俗に反しない限り、会社が独自に決めた内容を記載することができます。
定款に定めた範囲で、株主やその他内部の者を拘束します。
ただし、一度定款に記載した内容を変更するには、定款変更の手続きが必要です。
また、任意的記載事項は定款に記載しなくても、社内規定に明記することで効力を持たせることが可能です。
株式会社の場合、例として以下の内容が挙げられます。
・株主総会について
・役員報酬について
・事業年度
定款の認証
定款の認証とは、法律の専門家である公証人に定款の正当性を確認してもらう手続きであり、公証役場で行われます。
定款の認証が必要な法人形態は「株式会社」、「一般社団法人」、「一般財団法人」であり、「合同会社」、「合資会社」、「合名会社」などの持分会社では不要です。
会社設立時の発起人が全員同意のもと作成した原始定款であることを、定款の認証によって公的に証明することで、定款の改ざんや社内紛争といったリスクを防ぐことが可能となります。
定款の変更手続き
会社の設立後、定款を変更する必要が出てきた場合、株主総会の「特別決議」が必要です。
特別決議は、定足数(議事を進め、議決するために必要な最低人数)や賛成率が通常の決議よりも厳しく設定されています。
まとめ
定款は、会社運営の基盤となる重要な文書であり、慎重に作成・管理することが求められます。
定款に定めるべき事項をしっかりと理解し、企業の成長やリスク管理に役立つような定款作りを心がけることが大切です。
また、定款の内容は定期的に見直し、必要に応じて変更手続きを行うことで、会社の健全な運営を維持することができるでしょう。