不動産登記における建物の種類とは?詳しく解説
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建物の不動産登記の表題部には、建物の種類という項目があります。
建物の種類は適当に決めるわけではなく、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所、変電所などの中から、実際の用途に合わせて決めます。
建物の種類がどのような意味を持つのか、決め方や変更方法について解説します。
2種類の不動産登記
不動産登記は、大きく、表示に関する登記と権利に関する登記に分けることができます。
表示に関する登記は、建物の物理的な現状について表示するもので、建物の場合は、所在・家屋番号・種類・床面積等が登記されます。
権利に関する登記は、その不動産の現在の所有者や権利関係を登記するもので、甲区に所有権に関する登記、乙区には所有権以外の登記、例えば、抵当権に関する登記がなされます。
建物の表示登記で重要なことは?
建物を新築した際は、まず、表示の登記を行い、建物の物理的現状を明らかにします。
どのような建物であるかを明確にすることは、その建物に対する固定資産税や建物の市場価値を決めるためにも重要です。
建物の床面積を正確に記載することはもちろんですが、見落としてはいけないことが、「建物の種類」です。
建物の種類により、固定資産税や建物の市場価値が違ってくることはもちろんですが、金融機関から融資を受ける際も借りられるローンの種類が異なることがあります。
たとえば、建物の種類が「店舗」ならば、その建物に人が居住することは想定されていないわけですから、「住宅ローン」を組むことはできません。
建物の種類とは
建物の種類は、不動産登記規則113条に定義が設けられており、「建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め」るものとされています。
そして、これらの用途のいずれにも当てはまらない場合は、次の区分のいずれかに当てはめます(不動産登記事務取扱手続準則80条)。
校舎、講堂、研究所、病院、診療所、集会所、公会堂、停車場、劇場、映画館、遊技場、競技場、野球場、競馬場、公衆浴場、火葬場、守衛所、茶室、温室、蚕室、物置、便所、鶏舎、酪農舎、給油所
もっとも、これらのいずれかに必ず当てはめなければならないわけではなく、「なお、これにより難い場合には、建物の用途により適当に定めるものとする」とされていることから、比較的柔軟な運用がなされていると言えます。
建物の用途が2以上ある場合は?
建物によっては、店舗兼用住宅のような使われ方をするケースもあります。
ただ、店舗兼用住宅という種類はありません。
店舗部分と住宅部分が等しい場合は、「当該二以上の用途により建物の種類を定める」ものとされており、例えば、「居宅・店舗」と表示することになっています。
建物の種類の決め方
建物の種類は、実際にどのように利用されるのかにより決まります。
例えば、アパートのように各部屋に独立した出入口が設けられているケースであれば、通常は、「共同住宅」になりますが、すべての部屋に同じ家族が住んでいて、一戸建て同然に使っているのであれば、「居宅」になることもあります。
賃貸マンションを建てて、その一室に大家さんが住む場合ならば、「居宅・共同住宅」という表示になることもあります。
一方、店舗として新築した場合でも、登記の時点で、入居者が決まっておらず、店舗らしい内装もできていない場合は、「店舗」として判定されないこともあります。
建物の種類の変更
建物の種類は、いったん決めたら変更できないわけではなく、建物表題部変更登記(種類変更)を行うことにより変更することができます。
たとえば、建物の種類が「店舗」となっている建物を購入して、一階は店舗、二階は自宅として使う形で、住宅ローンを組みたい場合は、「店舗」では住宅ローンを組めないため、建物の種類を「居宅・店舗」に変更する必要があります。
建物表題部変更登記(種類変更)については、ご自身で行うこともできますが、専門的な手続きなので、難しいと感じられた場合は、土地家屋調査士等の専門家に依頼しましょう。
まとめ
建物の種類は、固定資産税や建物の市場価値を決める際に重要な要素になりますし、金融機関から融資を受ける際にも、重要なポイントになります。
建物の種類は、建物の実際の利用方法と一致するように決めなければなりません。
建物の種類に関してお悩みの方は、土地家屋調査士等の専門家に相談してください。